interview
vol 01.
土井 通忠
院長

通院が困難な
患者さんたちに医療を
届けたい

在宅医療に携わる前は、千葉の病院で整形外科医として勤務していました。私が担当していた回復期病棟は、急性期治療を終えた患者さんを引き受け、在宅復帰に向けた準備をするのが役割。そこで退院後の生活に不安のある方や、悩んでいる方たちがたくさんいらっしゃることを実感するようになりました。外来の患者さんの中には、歩けないような状態で、やっとの思いで通院されている方が少なくありませんでした。そうした患者さんたちの悩みをお聞きして、地域のソーシャルワーカーにつなぐコーディネート役をするうちに、少しずつ在宅医療に興味を持つようになったのです。
ただ、そこから実際に訪問診療の道に進むまでには、数年かかりました。それまで麻酔科や救急科で全身管理の経験はあったものの、内科の専門的なトレーニングを受けていないことで、どうしても踏み出せずにいたのです。踏み出すきっかけになったのは、日本在宅医療学会の理事長を務める城谷典保先生にお会いしたこと。たまたま自宅が近かったのでお話をする機会があり、「整形外科医でも訪問診療はでますか?」とお聞きしたところ、「できるよ」と言っていただけたからです。
症例を積み重ねながら、
スキルを身につけていく
城谷先生の紹介で、在宅医療を手がけるクリニックの往診に同行させてもらったのですが、そこで診療していたのは私が回復期病棟で診ていたような患者さんたちでした。それで「自分にもできる」と確信が持てたのです。その後、2019年に「みんなのライフサポートクリニック大網」に入職し、当クリニックを開設したのが2020年4月。訪問診療を始めたばかりの頃は、毎日仕事が終わった後に2、3時間は勉強し、実践しながらスキルを身につけていきました。クリニックを開設直後に、腹水穿刺が必要な患者さんがいらしたときは、法人内で外科を専門とする新井先生に手技を教えてもらい、一人でもできるようになりました。そうした手技をはじめとして、患者さんの診療を通して学んでいくことがたくさんあります。一つ一つ経験を積み重ねながら、今では末期がんの方など、重症の患者さんの診療もお引き受けしています。
当クリニックがカバーする千葉市周辺は、訪問診療や介護資源が比較的充実しているエリア。そのため在宅医療に関して、熱心なご家族が多い印象です。「来てもらえて本当に助かっています」と言われることがあり、自分が手を差し伸べたいと思っていた患者さんやご家族のお役に立てているのだなと感じられます。

大事なのは
一歩踏み出す勇気

私もそうでしたが、訪問診療の経験がないことで、在宅医療の道に進むことをためらわれている医師は多いのではないでしょうか。もし、やりたい気持ちがあるのでしたら、ぜひ一歩踏み出してみてほしい。昌健会には医師が多数在籍していますので、お互いに苦手な分野を補いながら、強みのある診療については共有していくような協力関係があります。それぞれの専門分野で経験してきたことが、ここでは強みになるのです。
訪問診療を経験することで、見えてくるものはたくさんあります。私自身、急性期病院にいたときには、患者さんが退院後にどのような生活を送っているのか分かりませんでしたが、ここでは治療後の患者さんの状況をしっかり診ることができます。患者さんに寄り添いながら、いかにお一人お一人が望む医療を提供するか。そこに在宅医療の醍醐味があるのです。
休日の過ごし方
テニス(運動不足解消のために週1回はスクールに通っています)好きな言葉
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